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2008/04/21
政治や経済の世界では、人の立ち位置を取りになぞられることがあります。いわゆる「タカ派」、「ハト派」
の分類です。タカ派は鷹の攻撃的でスピード感ある動きから、政治面では対外強硬論者を表すことが多い。反面
、ハト派はハトの平和の象徴というイメージを底流に穏健な人物を指します。保守や自由といった区分とはやや
趣が異なります。経済や金融の分野ではどうか。定義に関しては様々な見解がありますが、タカ派はおおむね景
気に強気でインフレへの警戒感が濃く、金融引き締め策を主張しがちな要人に用いられ、ハト派は経済の先行き
に慎重見通しを示したり、緩和措置に傾いたりしやすいタイプを示唆するケースが多いです。
中央銀行はもともと物価の安定を重視する傾向があり、タカ派を輩出することが少なくありません。最近では
「インフレ・ファイター」を標榜するECB(欧州中央銀行)が好例です。2007年半ば以降、サブプライム問題
発の景気減速が意識される中でも、トリシェ総裁は「エネルギーや食料品の値上がりがもたらす『二次的影響』
を懸念している」との立場を崩しません。ドイツなど域内主要国出身の理事会メンバーも、同様の見解を繰り返
しています。
結果、ユーロ圏の利下げ観測は一向に広がらず、為替市場でのユーロ高を招き、フランスのサルコジ大統領ら
の不興を買ってしまいました。政治サイドの人間は、企業などの支持勢力に目配りしなければならないため、理
論派の金融当局に比べると景気配慮型が増えます。両者の軋轢がしばしば社会問題化するほどです。ECBも以
前、独立性の維持をめぐって域内各国の政府高官と相当やりあったはずです。
一方、日本では超低金利の局面が長引いた分、日銀内でハト派の比率が高かったと思われそうですが、実際は
そうでもありません。2001年3月に始まった量的緩和政策を異例の措置と捉え、副作用を防ぐためにも早い段階
で「金融正常化」を目指すべきとの意見は根強かったです。2008年3月に退任した福井俊彦前総裁の数々の発言
からもそれが分かります。
また、白川方明総裁については、エコノミストの間で「前総裁よりタカ派寄り」との見方が出ています。日本
経済がサブプライム問題の悪影響を受けても、しばらくは耐えるとの場面がたびたびみられました。もっとも、
当の白川氏は就任記者会見で「金融政策はその時々の経済情勢の中でどう考えていくかが大事であって、タカ派
だとか分けられるものではない」と一蹴。「タカ・ハトというラベル貼りはバードウォッチャーとして可哀相だ
」とも語りました。バードウォッチャーの下りはともかく、政策責任者のコメントとしては正論でしょう。
FRBのバーナンキ議長も、物価に軸足を置くタイプと考えられていましたが、「住宅市場の混乱と信用収縮
が実体経済に波及しかねない」と判断するや、積極緩和策に舵を切りました。2007年秋以降の利下げ幅は3%に
達します。主義主張に固執するようでは、トップなど務まりません。市場では「ECBも日銀も、高金利政策を
続けているオーストラリアやニュージーランドも、米景気の停滞が長期化するような状況下では、躊躇なく利下
げに踏み切る」との声を聞きました。
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