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注目が集まる政府系ファンド

2008/01/07

 このところ「政府系ファンド」と呼ばれる投資家の存在感が 高まっています。欧米金融機関が米住宅市場の混乱で損失処理 に四苦八苦していたとき、巨額の出資者として次々と名乗りを 挙げたからです。米政府の住宅ローン政策や金融当局の資金供 給とともに、株式市場動揺収束の立役者とみなされています。 政府系ファンド「SWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)」 は文字通り政府が運用するファンドを指します。原資は国有の エネルギー資源などを売却して得た利益や、高成長国が自国通 貨高を抑える目的で為替介入を繰り返し、膨れ上がった外貨準 備などです。最近では中東の産油国やシンガポール、中国系の 動きが目立ちます。
 外貨準備のような公共性の高い資金とは異なり、SWFは運 用上の制約が比較的緩いとされます。民間企業の株式といった リスクの高い資産にも手を出すケースが少なくありません。安 全性や流動性よりも収益性に軸足を置いたスタイルと言えます 。ただ、実態はベールに包まれている部分が多かったりします 。また、特定国の公的資金が背後に控える分、政治的には微妙 な問題を孕みます。例えば、あるSWFが某国の民間企業の出 資比率引き上げで影響力を行使可能な状況になった場合、監督 当局は国益に影響を及ぼさないか神経を尖らせます。最終的に 投資を断念させたケースも起こっているはずです。
 中東勢などが米大手投資銀行の財務体質の強化に加わった後 、ブッシュ米大統領がわざわざ「資本注入を特に懸念していな い」などとコメントしたのもこうした事情のためです。この発 言には「国際的な経済活動はSWFなどの新興国マネーなしに は立ち行かない」との達観も透けてみえます。中国などの台頭 で世界経済の相互依存度が上がり、先進国が以前のように成長 と富を独占することは難しいです。しかもエネルギー需要が飛 躍的に強まる中、このまま商品相場の上昇傾向が続くようです と、日米欧の成長余力は細り、産油国の実力が一層増すことに なりかねません。また、これだけ国際不均衡が問題視されてい る現在、アジアなどの経常黒字国や石油で潤っている国のお金 を赤字国の米国などに還流させることは、経済合理性の面でも 重要です。ましてや欧米では米住宅問題の根深さが意識されて います。「投資や貿易への門戸を開放している世界は総合的に 繁栄する」などと、ブッシュ大統領が相手を持ち上げる場面も ありました。
 反面、政府系ファンドはあくまでも一投資家。収益性の低い 案件に引き寄せられるはずがありません。UAE(アラブ首長 国連邦)のアブダビ投資庁が2007年11月、米シティから購入し た75億ドルの出資証券の配当利回りは年利11%。2010年以降に 段階的に普通株に転換することになっているとはいえ、破格の 条件だったことが決め手になったようです。同じくUAEのS WF、インティスマルは2007年12月にNYの商業不動産2物件 を総額25億ドルで処分したことを明らかにしました。元々2008 年にドル建て資産の圧縮を進める計画でしたが、2007年後半の ドル安傾向を睨んで前倒しで「ドル離れ」に踏み切ったと見ら れています。投資マネーである以上は、ビジネスライクな側面 が濃く、逃げ足も相当早いという点を念頭に置いて付き合うべ きでしょう。

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